dry country

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『この辺りはdryなんだ』
店屋の主人にそう言われて何のこっちゃ、と思ったが、
アルコールの販売を禁止している地域がアメリカのところどころにあって、
そういうところをdry countryと呼んでいるらしい。
旅の疲れを癒してくれるビールを、
タイミング良くそんな所で切らしてしまった。



午後4時半ころ、ビールを買いにホテルを出た。
何でも置いているwal martの広い店内をぐるぐると回ってビールを探したが、
無い。
店員に聞くと『We don't sell beers』と、なにかキッとした調子でいう。
そういう言い方すると、この店にはビールは置いていないのだな、と思うでしょうが。
だから、次の店を探すでしょうが!!

Greenvilleという町の、酒を置いていそうな店に、片っ端から入った。
けれども、どの店も扱っていない。
何軒目かで、やっと『この辺りではアルコールは売っていないんだ』と言われ、
『We don't sell beers』の本当の意味が分かった。
それを先に言って欲しい。
『じゃ、どこに行けば買えますか』と聞くと、
『西に13マイルくらい行った隣町で買えるよ』と言うから、
素直な私は西に向かった。
ところが、行けども行けども、店という店、アルコール類が無い。
13マイル、なんてとっくに越えている。
これ以上行っても無駄足だな、と思い、反対側の東に向かった。
こちらも同じ。しまいに道路が行き止まりになってしまい、
いったんGreenvilleの町に戻った。
ふと見ると、ガソリンが半分くらいになっていた。
スタンドで給油した。$15くらい。そこの黒人のお姉さんに聞いてみた。
『北の方に13マイルくらいいったら隣町だから、そこでは買えるんじゃない?』
北に向かった。
ところが北に進むに従ってどんどん田舎になっていく。
林の中をはしって、道路沿いのよろずやさんみたいなお店にも立ち寄った。
休みだった。
ゆるやかに怒りがこみ上げてきた。
と同時に、見つかるまで探してやる、と決意がしっかりと固まった。
万屋二軒目は、サリーをまとったインド系の奥さんが出てきた。
いろいろ出てくるものだ。
何も買わずにものを尋ねてもろくな返事が返ってくるはずもないので、
ふと見つけたダラス市内の地図を買った。$3.99。
『南の方にいった町にあるんじゃない?ここから38マイルくらいよ』
気軽に言ってくれる。38マイルって、60㌔くらいだぜっ
決意は固まっていたので、行くことにする。
時間は6時ぐらいになっていた。
再びGreenvilleの町中を抜け、最後に残された方角、南へ進む。
小1時間ほど走ると、小さな町が通り沿いに現れた。
Emeryという名だ。
そこのどの店にも、ビールは無かった。
最後に入った店では、パキスタンからアメリカに帰化したというご主人がレジに立っていた。
珈琲を買って、会計をしていると、ご主人が話しかけてきた。
『僕の弟の妻は日本人なんだよ』
『ええっそうなんすか ??』
『とってもいい女性でね。弟は僕と違ってとってもハンサムなんだ』
『いえいえ、ご主人だってなかなかイケ面ですょぉ』
『いやいや、二人は旅先で知り合って、それぞれ帰国してから彼女が3年間弟に手紙をよこしてね。弟は書く方はあまり上手じゃないんで、僕が代わりに手紙の返事を書いたんだよ』
『あらあら、それはまぁ』
『日本人の女性はとっても誠実で正直だ』
『いゃー、そう言われると大変うれしいですが、それは人によりますょぉ。弟さんはとてもいい人に出会えて良かったですね』
ご主人は結婚して奥さんは今妊娠中だと、とても嬉しそうにいう。
そんな話をしているうちに心がうち解け、
ご主人は『あなたはもう友達だから』
といって珈琲代を返してよこした。
『ええっ、それはいけません!!これは払わせてくださいっ』
『いや、いいんだ』
『いえ、いけませんてば』
『いやいや』
ーこの手のやりとりは果てしないので中略ー

結局代金を返してもらった私は、
せめてものお礼のつもりで愛用のセンスを差し上げた。
何もいらない、と言ったが、それでは私の気が済まないので、
『奥さんにさしあげてくださいっ』と無理矢理渡した。
ついでにビールのありかを尋ねた。
一瞬、ちょっと困ったような表情を浮かべ、
それでも
『ここから西に13マイル行った湖のほとりに酒屋があるよ』と教えてくれた。
まぁた13マイルだ。
『わかるでしょうか』
『大丈夫、MillerとかCoorsとか看板が出ているから』
ここまできて諦めるわけにはいかないので、湖に向かって13マイルいった。

酒のことを尋ねると、一様に困ったような表情を浮かべ、
あまりそういうことには関わりたくない、といった気配をあらわにする。
タブーなんだろうか。

しばらく行くと湖が現れた。
湖畔に2、3軒の店があった。
そのうち1軒は、
ご主人のいった通り、ああ、なんと懐かしく感じられる、
MillerとかCoorsのネオン看板が掲げられていた。

Budlight6缶パックを手にいれた時の喜びは言い表しようがない。
こらえきれない喜びを満面に浮かべて店を出る私を、
店員さんは『しょうがない人だなぁ』といっているような、
やさしい眼差しで見送ってくれた。

喜びのあまり店の写真まで撮ってしまった。
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ふと見ると湖があった。
あたりはとても静かだった。岸に打ち寄せる心地よい波の音だけが聞こえた。
ばかなことに躍起にならないで、心を広く持ちなさいー
そう言って神様が、私をここまで連れてきてくれたのかなぁ。

宿に帰ったら8時を回っていた。ちょうどいい時間だ。
ビールを探して、今日は100マイルは走ったんじゃないかなぁ。
札幌から旭川あたりまで買いに往復したようなもんかな。

余談ですが、ついでにtequilaも買っちゃいました。
これは別の所で買ったものどす。
かなり効きます。
ワンショットでビール6缶分くらいの効き具合だ、と言っておりました。
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by peteandfluffy | 2005-07-24 16:20 | 旅/海外  

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