エンドウマメ5

食事が終わり、ホテルを出て、
すぐそばにある中島公園をぷらぷらと散策しながら戻ることになった。

池をのぞけば巨大鯉がゆったりと泳いでいる。
えさをたっぷりともらって、たいそう良く育っているようだ。
時折カメが水面に、ぽかっと丸い輪をつくる。
誰かが飼えなくなって、放したものだろう。
藤のアーケードの下を通ると、大きなサヤがあっち、こっちに落ちている。
『食べられないのかな』などと考える。
池に目をやればカモに混じって見慣れぬ白い鳥。カモメだ。
最近街中にカモメが姿を現すようになった。ここを根城にしているようだ。
アジサイはガクアジサイの方がいいわよね、などと話しながら
鴨鴨川に沿って南に歩く。
この辺りは叔母、もちろん私の母もそうだが、
青春時代を過ごした想い出がそこかしこに残像をとどめているらしく、
とても心地良さそうだ。

「このお店は子供のころからあったのよ」
「ここのお家には同級生が住んでいたの」
いつも饒舌だが、こんな時はまた別モードで饒舌になっている。
想像もつかないが叔母が高校生のとき、
同級生の女の子とこっそり授業を抜け出して、
中島公園で昼寝をして、戻ったら先生が仁王立ちになって待っていた、
がっちりお灸を据えられて、でもその子とは今でも親友なのよ、
なんて話を懐かしそうにしてくれた。

実にいい朝の時間がゆったりと過ぎていく。
至福のひとときだ。
人間、こういう時間がないとどんどんすさんでいくのだな、
などとおもっていると、
叔母が突然
『ねぇ、おたくでエンドウマメ植えてるでしょ?』
と訪ねてきた。
『えっ?いや、今年は生り物は一切やってませんけど』
『あら、だってあったわよ』
『えーっ? おかしいな。去年はマメ植えましたけどねぇ』
ビールの友、枝豆を植えた記憶はある。
よおく考えてみて、はたと思い当たった。
『あの、プランターに植えてあるやつですか?』
『そうそう!!』

あれは、スイートビーだ。
まだ花をつけていない成長中のやつ。
『おばさん、あれ、スイートビーなんですよ』
『あらぁ、そうだったの?また、てっきりエンドウマメかと思ったわ』
ちょっと気恥ずかしそうに言った。

『また、涼しくなったら会いましょうね』
といって、その日は別れた。
多分、涼しくならなくてもまた会うことになるでしょうが、
今度はどんな展開になるか、また楽しみである。
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by peteandfluffy | 2005-08-12 10:57 | 雑記  

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