ぶら下がったネコ

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着物はたまに陰干ししてあげないとならないのだが、
その日はよく晴れた秋の、湿気も少ない絶好の陰干し日和だった。
着物をハンガーに掛け、鴨居に吊した。

まだ2歳になるかならないかのぴーちゃんは血気盛んなやんちゃ盛り。
その日もひとり“発狂”し、家の中を駆け回っていた。

駆け回っているその勢いに乗って、そのまま吊してある着物に飛びついた。
今思えば別の場所に干しておけば良かったものを、
ちょっと油断したのだな、その時は。
『ああっ』と叫ぶ間もない一瞬の出来事だった。



                                                                                                                         
飛びついてぶら下がった。
運良く、そのまま動こうとしなかった。
ほんの数秒だと思うけど、二人の間に緊迫した空気が流れ、
それは随分長く感じられたものだ。

ここは落ち着いて対処しなくてはならない。
慌てず、そぉっと後ろから忍び寄った。
ぴーの体を抱きかかえ、
5キロもの重量が着物の生地にかかるのを食い止めた。
ネコが暴れないように気をつけながら、
10本のツメを、そのアーチ型に沿ってひとつひとつ外していった。

10本目が外れたところでネコを放り投げた。
ぴーは疾風のようにどこかに駆け去っていった。
かなりまずいことをやってしまった、ということは感じていたのだろう。

着物の、ツメがかかっていたところを確かめた。
ツメの穴は空いていたものの、幸い目立たない程度で済んだ。

今は亡きぴーちゃんの武勇伝はたくさんあるが、
中でも忘れられない出来事のひとつだ。
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by peteandfluffy | 2005-12-14 19:22 | Cats  

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